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2013-02-23 OB になれなかったのだ

OB になれなかったのだ。先輩然とした人間関係や何かの共同や共闘や連帯というものを俺は築けなかったのだ。

店員の言葉によれば四ヶ月ぶりに髪を切りに行った。鏡に向かいあって自分の顔の印象がおぞましく変化していく様子を見る以外にはできることもなく手持ち無沙汰な時間を敢えて好んで選ぶことなんてない。普通は雑談など交わすらしいがそうしていた他の店ではなぜか家電好きというキャラクターを割当てられ髪を切るたびお互いおもしろくもない話をする破目になるのでそこは止めたという経緯があった。ソファで待ち合いながら文庫本を読んでいたらどうも散髪してる間も本を読んでいいものらしかったので小説を読んだ。前髪を切られているとかしてそれができない間はじっと想像しようとしていたが何を想像していいものか分からなかった。帰りしな、スーパーで夕飯の材料を買った(夕飯など作っている時間が無駄だとも思うのだけれど出来合いの弁当を食うのもなにか情けない感じがして最近できない)ときレジ袋をよこすよう言うのを忘れていたため清算後カゴを前にどうやって家まで持って帰ろうか、背後のレジはすでに混み合っていて声をかけづらく、結局、鞄に詰め込んで余ったものは自転車のカゴに入れて運んだのだった。ちょっとどうでもいい話だったな。