■

Google マップの上を文字が滑るという趣向のウェブサービスがある。ただ自由に滑るわけではなくマップ上のオブジェクトに対して整然としていなければいけない。その延長で、ログハウス/焼肉店の木製のテーブルに正方形の文字タイルを縦横にびっしりと並べるとその趣向に客の男たちが喜んだ。テレビでは小太りのアナウンサーがニュースの原稿を読み上げているが「○○○（アルファベット三文字の名前）、アップルの○○○」と言い直すとそのアルファベット三文字の名前からどうしても次に進むことができず延々と言い直しをし同じ単語を発音し続け、本人の表情も狼狽を見せながらも言い直しを止めることができないでいる。やがて放送席（というよりは政見放送の演台のようだった）から転げ落ちるようにして退場すると画面外からロボットアームのような腕が伸びて壁に貼られたテロップをぺりぺりと剥がし、代わりの男があらわれて話し始めた。