25話 #nahive2qgpj02j4i

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最近弱くなってきてるみたいでビールを三本飲んで六時間寝て起きると暗い気分の目覚めだ。単におれを落ち込ませるようなことも現実問題としてのしかかっている。人は誰も不幸を求めないのに不幸になる、これだけは避けようがない気がする、なんでだろうなんでだろう。枕があっていないのか首がこわばっている。幸せってなに、とおれもいっぱしに尋ねられたことがあるけどそれは不幸でない状態、すぐにでも不幸になる状態、不幸の前状態でしかないと思う。まずこの世に不幸が生じた。それ以来、健康も愛も富も名声も、ひいては生も、みんな不幸に転じることになっている。どうしてこういう仕組みになっているんだろう。ここで宗教的な答えを求める気はないし求める気持ちも分からないけれど。人間の対喪失機構の暴走なんじゃないだろうか。こんな考えも酒を飲んだり体を動かしたりしていれば忘れ去られるものだと知っているとはいえ。蕎麦屋では店員の熟女連が顔を寄せ合ってまかないを食べていて、その中の若い一人の娘らしい女の子が下手な童謡を歌っているのに向かって小さな歓声をあげている。テレビでは少女が行方不明になっているというニュースが流れている。おれはざるそばをすすっている。あるエロゲ声優のフェラ音がソバをすすっているようにしか聞こえないというのを逆に考えれば蕎麦屋はフェラ音まみれなのだという。