25話 #nahive2qgpj02j4i

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「電車で向かいに座ってる男の人のこと見覚えがあったのでAV男優かなって思ってたんですけどプロデューサーでした」「俺じゃないぞそれ」

おれが虫の何を苦手かって、生命と物質の境目がきわめて弱々しいことだろう。指ではじけば元の形をうしなって、死骸はそのまま染みになるし、手足や翅は、すぐにばらばらになり、あたかも何かの部品のようだけど、これらを組みたてても再び動きだすとはとうてい思えない。機械ではなく自由に動いていたはずの生命が、魂が、一瞬ののちに消え去って、物質だけが残る。あったはずの何かは戻らない。そんなのが嫌だ。

女の子を物質化して喜ぶ趣味ってのがあったと思う。女の子を壁とか、石とか、柱とかにするやつだ。前にひだまりスケッチの二次創作を探していたら、それこそヤマもオチもなくて、ただキャラクターたちが突然、像だか何だかに変えられて、もう動けないのだけれど、喜んでいる。おわり。みたいな話があって、まったく文章は巧くないし、同じ趣味の人間から見ても全然評価されないだろうと思える出来だった。おれは嫌悪感をいだいたけれど、物質化する生命に、惹かれる気持ちを持つ人もいるのだろう。