平田オリザ『幕が上がる』
- 作者: 平田オリザ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/12/12
- メディア: 文庫
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『ラジオ版 学問のススメ』というポッドキャストの平田オリザの出演回をたまたま聴いて知った。
ストレートな青春小説ってのは久しぶりで、最後に読んだのは『武士道シックスティーン』だったかな……。これは演劇部の高校生たちと、彼女らが臨む一年に一度のコンクールをめぐる話。まともに顧問のつかない演劇部てのは地区大会でボソボソとファンタジーかぼくたちわたしたちのリアルめいた芝居をやった挙句地区大会落ちしてひと夏の思い出とする、なんてのが目につくのだけど、こちらの若者たちは強力な顧問の登場で正しく勝ちを目指す。
女子部長の一人称で悩みながら成長していく(というよりは、鍛えられていく)様子はトントン拍子すぎるようにも思えるんだけど、台詞や構成を変えていったり、エチュードから新たなシーンを作ったりしていくから過程が演出家の視点から描かれているのは面白いし、新任の顧問(彼女がスゴイ人)が導く稽古の方法など見るにつけても、これが平田オリザの劇作の現場か! と思えてよかった。最終的には「等身大の高校生」像くそくらえとなっているのもそれらしい。いろいろと楽しめた。