田尾典丈『ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!』
- 作者: 田尾典丈,有河サトル
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2009/01/30
- メディア: 文庫
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愛するギャルゲーの世界を願い、超常的な力によってヒロインたちを現実世界に呼び出し、自らも(ギャルゲーの)主人公のポジションに収まることとなった主人公。美少女たちに囲まれて幸せで安寧な日々を遅れるのかと思いきや、各ヒロインのシナリオが進行しつつあった。それも同時に! 美少女ゲームのシナリオなのだから彼女たちには自分の力では対処不可能で理不尽な不幸が襲いかかって、(ギャルゲーの)主人公の介入によってしか解決できず、できなければバッドエンドとなって不幸なその後の存在となってしまう。自分の身勝手な願いでヒロインたちにこの世の生を与えてしまったからには、何としてでも彼女たちをグッドエンドに導かなければならない。大丈夫、何度もプレイしていて、セリフなら一言一句繰り返せるから! という展開はまあまあ熱くてよかった。
大小さまざま問題のある中の一つに、ヒロインの一人が学校で悪質ないじめを受けてしまう、これが現実なのだ……というような挿話があるのだけど、ちょうどこの前後で『幕が上がる』を読んでいて、そちらでは「いじめだとか何とか、私たちのリアルではない」となっていたので面白かった。どっちがどうとかではない。