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小塩隆士『効率と公平を問う』

効率と公平を問う

効率と公平を問う

経済学はCourseraかどこかでミクロ・マクロそれぞれ3回ほど履修しまだ修了できてないおれですけど。経済学は意外に公平性のことも考えてるんですよって話から始まり、現在の日本が抱えているいくつかの問題について、経済学の視点から解説している。もっと経済学一般の抽象的な話が書いてあるのだと思ってたけど、国がどのように政策を打ち出していくべきか、教育、子供の貧困というレベルの話にまでなってた。べつに不満があるわけではなく内容自体は知らないことばかり、けっこう平易に書かれてるのでスイスイ読めた。

冒頭を読んでるだけでも経済学の対象である経済とかわれわれ生活者とか国の政策とかに対して真摯であるという態度が見えるので信頼できると思った。ちくま新書で『高校生のための経済学入門』というのを書いている。

残念ながら血肉にできるほど理解できたわけではなく感覚だけが残った。

ジニ係数だけでみると日本は所得の再配分により格差を減らしているのだが、それは実際の感覚とは違う。詳しく見てみると、再配分は高齢層への所得移動という形で行われているのであって、また、高齢層の所得の平均が上がっていることがジニ係数に影響を与えており散らばり自体は減らせていないという話だった。

赤字国債は国の借金だって言われ、問題視されることに違和感というか理解できてなかった。だってカネは動いてるんだからいいじゃん? と思ってたのだ。しかしこの本の中で「無限遠の未来にわたって考えると〜」という話があって少し理解に近づいたような気がした。すなわち発行した国債は最終的には完済(解消? なんて言うんだろ)されていなければならず、国がそれを買い戻す以上それは税金によってなされるのだから、国債は未来の国民からの借金だということになる。そういう観点で健全でないという話は分かった。

無限遠の未来において収支がトントンである(べき)という考えは面白く分かりやすい。例えば年金制度において、最初の導入時の受給者は若い時分に金を納入してないので「もうけ」があるわけだが、その額というのは、国の人口が単調減少するとした場合、すべての将来世代それぞれの納入額と受給額の差の合計になるって話もあった。