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新海誠『君の名は。』

見終えて涙を拭いながら振りかえり、初老の夫婦が降りてくるのを見るまで本当に新海誠の作品がポピュラーになったのだということを信じていられてなくて、電車の中で女子高生が君の名は、と映画の名前を挙げていたこともそのとき想いだしたのだった。本当にそうなんだね! そしておれにもとても面白かった。

とにかくおれにとっては都市礼賛! 都市礼賛の話だったのだよ。三葉が滝くんの(人名間違ってたらごめん)身体を通じてはじめて東京の景色を目の当たりにするシーンで都会のビルとか道路とか電車とかが美しく描かれるのを見て泣けてきて、ああおれは都市のことを好きでいていいんだって思った。都会と田舎の主人公ふたりが結婚したらどこに住むんだろうって、おれの最初の疑問にも何らかの形で決着はついたわけではないか。

あともう一つよかったのは口噛酒。登場したときからあからさまに特別めいた存在感の、あのアイテムは、『もののけ姫』の黒曜石のペンダントみたいにおれの心に響いたよ。モチーフを作ることができるのは物語だけなのだと改めて思った。