25話 #nahive2qgpj02j4i

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宇宙戦争の趣。

何かの部隊の一員として、打ち棄てられた宇宙戦艦に乗り込む。もちろん中は真っ暗だが、ひとつだけ、灯りの漏れてくる部屋がある。以前この艦を見捨てて脱出しなければならなかった時に独りこの艦に残った男がいたが、彼が最期に居た部屋だったのだろう。小柄で、浅黒い肌、厚い唇の、ラテン系の男だった。すぐ隣に電子施錠された部屋があり、他のドアなら「ロッキー」という合い言葉で開く筈なのに、それが通じないので、彼が合い言葉に細工をしたのだろうと一同了解する。俺はこの合い言葉が「ノッキー」または「ノッカー」であることを知っている。

窓の外に二枚貝を背にした恐ろしい形相の巨大な顔が現れ、一行を脅かす。しかし仲間の一人はそれを一瞥するや、敵は兵器となるために自らの身体を捻じ曲げた人間で、螺旋の中に身を置くことでしか自らを維持できないのだということを事もなげに看破して、敵をほどいてしまうと、青いビニールシートに並べられたうどんの麺だけが残り、それを皆で啜った。居に穴でも開いてない限りは、無害だろうということだった。