25話 #nahive2qgpj02j4i

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天井の高い大きな書架で十人ほどの女の子たちを待っていて、おれはイライラしている。なにかの決まりごとでそこにその時間集まっていてほしかったのに、姿を現さないからだ。おれは小学生の引率者のような役割だった。ようやくやってきた彼女らはへらへらとして悪びれる様子もない。訊くと、おれの知り合いの男の家で遊んできたのだという。そこで仲間うちのひとりの女の子を笑い物にしたのだともいう。その子は勇気を出してある男の子に恋の告白をしたのだ。それをみんなして、陰で笑っているのだという。彼女はたしかに他の女の子とは違って、可愛くはない、むしろ不細工なほうだったけれど、それでもロミオとジュリエットのロミオ役に自ら立候補して(そのこと自体も笑われていた)、その役目を果たしたのだ。おれは彼女のそれまでの葛藤もたくさん知っていたから、なおのこと許せなかった。